2021年 6月

国民の「真の安全・安心」のために
今夏の東京オリンピック・パラリンピック開催は中止し、コロナ対策に全力を尽くすことを求めます

2021年6月9日

石川県医療労働組合連合会
石川県民主医療機関連合会
石川県健康友の会連合会
新日本スポーツ連盟石川県連盟

 政府および大会組織委員会は、今夏のオリンピック・パラリンピックの開催について「安全・安心」を繰り返し、国内でひっ迫状態となっている医療、介護、福祉の現場を顧みることなく、開催ありきで準備を進めています。本来、国民のいのちと暮らしに最も責任を持たなければならない政府が、科学的根拠も示さないまま開催を容認することなどあってはなりません。

 県内でも石川緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が6月13日まで発令され、感染拡大緊急事態となっています。新型コロナウイルス感染症は、変異株の増加によって今後も急速な感染拡大を引き起こすリスクは拭いきれません。専門家も指摘している通り、大会期間中は世界各国から、選手関係者合わせて約9万人が入国することになり、そのことによる感染拡大リスクに対応できるとは思えません。政府はこの間、国民には我慢を強いながらも、脆弱性が露わになった医療提供体制や保健所機能の整備には手を付けず、あろうことか病床削減法案や高齢者への医療費負担を増加させる法案を強行採決しました。検査体制やワクチン接種も地方自治体に丸投げするような、政府の場当たり的な姿勢は、各地で混乱を招き、強い不信感と批判を生み出しています。

 緊急事態宣言下にある自治体においては、いまだに収束の見込みも視えない状況で、1万人を超える陽性者が入院できず、自宅などに留めおかれ、中には在宅で死亡するケースが連日のように発生し、癌治療、手術の遅延や救急医療の停止など、通常の医療が行えないという実態も拡がり、医療崩壊が現実のものとなっています。医療従事者も保健所もこれ以上の業務負担に対応出来る余力はありません。

 オリンピックを大きな目標として努力を重ねてきた競技者や国民の期待に対して心苦しい局面ですが、国民のいのちや生活を犠牲にし、開催を強行するなどあってはなりません。今大会においては医療体制の不備による安全性の確保と、競技参加者の公平性において大きな課題も発生しています。オリンピックにあっては、安全・安心、平和な社会の中でこそ競技者が輝き、感動が生まれるものと考えます。

 私たちは、医療、介護、福祉などの現場で、いのちと人権を大切にする社会を求める立場から、そして平和な社会の中でのスポーツの感動を求める立場から、国民の「真の安全・安心」のために、感染収束の目途がたたない局面での東京オリンピック・パラリンピック開催は中止し、一日も早い収束をめざしてワクチン接種、医療提供体制拡充など、コロナ対策に全力集中するよう政府、大会関係者に対し要望します。

以上

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